昨日、退院してから最初の通院に行ってきた。
退院したのが10月8日だったので11日ぶりの病院。
行く前かなり緊張した。
いくつかの不安要素があったのだ。
まず、診察予約時間は朝からだったのだが、退院して生活リズムが狂いはじめていたので、朝家をでる前に排便を済ませられるかが心配だった。というのも、俺は術前は外出するとほぼ出先で排便をする癖があったのだが、術後は排便後にシャワーで丁寧に洗う必要があるので家でしか排便ができないのだ。
そして、診察時になにか悪い情報がでてこないかという恐怖があった。再発しているかもしれない、縫い合わせた場所が開き再手術になるかもしれない、じつは癌化しているかもしれない、などの不安が尽きないのだ。
また、過去の経験から痔瘻の診察においては、非常に痛みを伴う処置が発生する場合があり、それへの恐怖もあった。
逆に、いつもの、いい歳して無職であることへの後ろめたさや、コミュニケーションの際にそれについて触れられるかもしれないという気後れや、それに限らず、人との関わりの際に起こるコミュニケーション全般でのヤラカシやミスへの懸念、などはあまり感じていなかった。
まあ、身体的な不安要素が大きすぎて、コミュニケーションでの不安が相対的に小さくなり、いつもはあるはずの懸念が薄まっていたのかもしれない。
少なくとも診察を受ける前までは。
で、結果どうだったかというと。
まず朝は無事、家で排便することができた。入院中に身に付けた排便習慣がまだ機能していたようで、朝食を食べるとすぐにもよおして、わりとちゃんと出しきることができた。前日の夜に無理に出そうとしなかったのが良かったのかも。
ちなみに術前はとんでもなく頻便で、そのくせ家をでる前など肝心なときにあまり出なくて、出先で何度もトイレに行く、という悪い癖がこびりついていたのだが、またそれに戻らないように気を付けたいところだ。
で、診察なのだが、結論から言うと、びっくりするぐらいあっけなく終わった。いろいろ聞きたいことがあったのだが殆んど聞けなかった。
あれだな、先ほど書いた、コミュニケーションにおけるヤラカシやミスといった懸念が薄まっていたことが油断となり、裏目に出たのかもな。
以下、診察の様子。
医「どうですか?」
俺「痛みはマシになりました、だいぶん…」
医「取りあえず見てみましょう」
診察台にてケツをさらけ出す。
医「あらあら」
ケツから滲出液が垂れて診察台を汚してしまったぽい。
俺「すみません」
医「ちょっと指で中診ますね」
俺、恐怖で顔をしかめる。
医「はい、もう大丈夫(完了)」
触診は数秒。痛みも殆んどなかった。完了したことを口頭ですぐに知られてくれる患者の恐怖心への配慮、やはり名医だ。そしてイケメン。
好きになってしまいそうだ。
医「あとは日にち薬ですね。滲出液はまだ多いけど11月ごろには減ってくると思います。次回の診察でゴムを抜きます。痛み止めはまだ飲んでますか?継続できますけどどうします?」
俺「頑張れば今ある分だけでなんとか…」
医「頑張っちゃだめです、追加で出しときますね、では次回は11月30日で」
このまま診察が終了しそうになったので、聞いておくべきことはないか脳内で探した。
俺「あの、これは何型の痔瘻だったのですか?一型とか二型とか…」
医「三型ですね、三型と四型は痔瘻のなかでも大変でねえ(云々)」
俺「12年前も三型って言われて…左側に穴(二次口)があったのですが中で分岐して右側にも瘻管が進んでいて…」
医「そうですね」
俺「あ、あと結局くりぬきでやった感じですか?」
医「はい、くりぬきですよ」
俺「ありがとうございました」
あれだな、肝心なことが全然聞けなかった。
傷の状態がどうなってるのか(くりぬいた穴はどこに何個あるなか)、たぶん左に1つ右に2つだと思うのだが、ちゃんと聞いておきたかった。また、そもそもくりぬきなのにゴムが入ってるのもよく分からんし、どこにゴムを通しているかなども聞いておきたかった。あと、再発しないように気を付けるべきこととかも。
しかしまあ、テンパってしまったな。
とくに「12年前も三型って言われて(云々)」は自分でも何が言いたかったのかよく分からん。
なぜ知りたいことを聞けなかったのか、コミュニケーションが上手くいかなかったのか、原因を考えてみた。
まず、依頼心だろうな。12年前のときはこっちから聞かなくても医師のほうからつらつらと説明してくれたので、だから今回も向こうから説明してくれるもんだと油断していた。それで「12年前も三型って言われて(云々)」とか言ってしまったのだろうな。そうすれば話の流れで詳しく説明してくれるかもと期待して。しかしそんな独りよがりな(自分でもこうやって分析しないと何が言いたいのか真意が分からないような)言い方で意図が伝わるはずもなく、「そうですね」で終わってしまうわけだ。B'zじゃないけど俺は凄腕イケメン医師に期待過剰になってしまっていたのだろう。もっとストレートに普通に聞くべきだったな。当たり前だけど。
あと、他の原因としては、先ほども書いたが診察を受ける前までは身体的な不安要素が大きすぎてコミュニケーションにおける懸念は薄まり、それが油断となって事前の対策を蔑ろにしてしまったというのもあるだろな。例えば普段、市役所とかに行くときは聞くべきことや何を言うかは事前に決めていくのだが、今回はそこらへんあやふやで成り行きまかせだった。
術創をさらして指を入れられに行くという立場上、非常に弱気だったからというのもありそうだ。必要以上に萎縮して必要以上に弱者的な振る舞いになっていたというか。それで意図の伝わらない不自然な言い方しかできなかったという。
また、イケメン凄腕医師ということで緊張していたというのもありそうだ。あらたまり過ぎているというか、媚びているというか、まるでウブな少女が好きな男性のことを尊大に見すぎてしまい上手く話せないような。まあ俺はおっさんなんだけどさ。
単純に、忙しそうだから、迷惑にならないだろうか、気分を害させてしまわないだろうか、などの気後れもあった。
まあ、そんな感じだ。
次回はちゃんと聞こう。1ヶ月半ちかく先だし余計に聞きづらい環境になってるかもしれんけど。
ちなみに俺がなんでこんなに、傷の状態やゴムがどこを通ってるかなど、所謂どのような手術をしたか、を知りたがってるかというと、自分の体でなにがどうなっていたかという好奇心もあるのだが、痔瘻の経験をちゃんとブログに書きたいからというのがある。