戦場の覚悟の1兆分の1

Xのおすすめポストなど見ていると、ウクライナの戦場の映像がよく流れてくる。まあ、俺がそういうのに興味があるから、AIがそのように判断して流してくるのだろうが。

俺はグロいのとか痛そうなのとか、本来そういう映像が大の苦手なのだが、流れてくるとなぜか見てしまう。

あまりにも非現実的なのと、引きの映像が多いから見れるのかもしれない。あるいは、「自分の環境なんて生ぬるいし、恵まれている」と思いたいがためなのかもしれない。あれだ、自分より過酷な人を見て安心しようとする性格の悪さがにじみ出ているな。だからAIも、本当は好きなんだろ?と言わんばかりに流してきやがるわけか。

ところで、そんな映像の中でもとくに印象的だったのがいくつかあって、その中の一つをここに文章で紹介してみようと思う。もう、その動画が載ったポストはタイムラインを流れていってどこにあるのか分からず、ここに貼ることはできないので。

それはウクライナの兵士が複数人のロシア兵と塹壕内で戦っている映像だった。そのウクライナ兵は非常にアグレッシブで、一人で危険を顧みず複数のロシア兵がいる場所へと進んでいき、何人かのロシア兵を殺すことに成功していた。

5、6人だろうか。彼は銃や手榴弾をもちいてロシア兵を殺害していた。しかし塹壕の曲がり角、出会い頭にロシア兵と鉢合わせた、それでも彼は怖気づいた様子もなく、そのまま突進して銃をロシア兵に突きつけていた。しかし彼は同じように銃を構えていたそのロシア兵に撃たれてしまった。なぜ撃つ前に撃たれたかは不明。たまたま銃弾が切れてしまったのか、突進した勢いで極度に興奮しており判断が遅れたのか、とにかく銃を先に撃ち込んだのはロシア兵で、顔面に複数の銃弾を受けた彼はその場で即死した。

しかしまあ、彼がこれほど果敢に戦えたのは、並々ならぬ覚悟というか、それはそれは筆舌に尽くし難いマインドがあったのだろう。

何かで見たことがある。勇敢で戦闘に振り切っている兵士ほど生き残り、及び腰の兵士はかえって生き残れない、と。まあ、これはもしかしたら、軍部が兵士の士気を高め軍の戦闘力を上げるために付いた嘘かもしれんが。臆病な動きをする兵士が増えるとよろしくないので。だから本当は臆病に逃げ回ったほうが生き残りやすいのかもしれない。

しかしあれだ、一理あるとも思ったりする。先ほど紹介した映像の話にもどすと、かのウクライナ兵も、もし、塹壕内で複数のロシア兵と対峙したときに臆病な動きをしていたら、とてもじゃないが5、6人のロシア兵を殺すことはできなかったのでは。せいぜい前方から迫ってきたロシア兵を1人か2人、防衛本能として反射的に殺し、その直後に残ったロシア兵によって殺される、という結末になっていたかもしれない。しかし彼は死ぬ覚悟と、臆病に逃げようとするのではなく、はじめから勇敢に戦い抜くことに振り切っていた。だから5、6人も殺すことに成功した。

俺は、自分がしょーもないなあと思う。たかだか日雇いアルバイトをするぐらいのことで及び腰になってしまう。だから積極的に仕事を覚えたり積極的に人とコミュニケーションを取ったりしないんだろう。それで余計にパフォーマンスが落ちるというか、いや、もちろん、積極的になると恥をかいたり失敗するリスクはある、しかし及び腰だと消極的になり、そのままできない自分に開き直ってしまうというか、能力値も停滞して上がらないままになりがちというか、それで肩身が狭くなり、辛くなり、辞めたくなってきて、あるいは、たとえ続いたとしても、より及び腰が悪化してしまうのでは。

リスクつったって死ぬわけじゃないし、冷静に考えればぜんぜん大したことないんだよな。さっき書いたウクライナ兵の1兆分の1ぐらいの覚悟があればいい。たったそれだけでいいのに。この程度のことで及び腰、俺はしょーもないなあと。

 

まあ、あれだ、たった1兆分の1でいいのなら、やってみようかなと、そう自分に言い聞かすためにこうやって書いてみたわけだ。

 

あれだ、たかだか3~5時間程度の日雇いアルバイト、その程度のことで、俺は、このように理屈をこねくり回して、自分を勇気づけ、モチベーションを上げていかなきゃいけないわけだ。

俺と同世代の男は、遥かに難しい仕事を遥かに重たい責任のもとやってるわけだ。日雇いアルバイトごときで、こんなに理屈をこねくり回して、こんなに講釈を垂れて、意識高い系のことを書いてる自分、Xなんかでもよく120%で頑張るとか言っちゃってる自分。傍から見れば惨め、かもしれない。てか自分でもそう思う。

でも、“この程度のこと”を全力でやるのって意外と気分が良かったりもする。

大きなことじゃないと頑張っちゃいけないってことはないんだよな。まあ日雇いアルバイトだって俺にとっては大きなことだが。

世間から見ればとても小さなことであっても、同世代の男がやってる仕事に比べれば甘々な簡単で責任の軽い仕事であっても、超低賃金であっても、120%でやる。これは恥ずかしいことかもしれんが、それを恥ずかしいと思って何もやらんよりはマシだろ。