イカルゴに詰められなかった世界線のウェルフィン

父親はむかしから嘘をつくのにためらいがない。

しかし不思議なのが、その嘘って必要あるか?誰が得するんだ?ということまで嘘をつく点。だから彼からの情報は本当のことのほうが珍しい。彼とまともに会話できない理由の一つがこれ。

もしかしたら彼は人生経験の中で『本当のことを言ったら損をする』という固定観念ができてしまったのかもしれないな。嘘をついて切り抜けた経験、本当のことを言って怒られたり責められたり損をした経験、これらを総合して嘘をついた方が得だ、嘘をつかなければいけない、となってしまったのかもしれない。

まあ、そんな人間と家族としてかかわらなければいけない身としてはたまったもんじゃないが。

そういえばハンターハンターにウェルフィンというキャラクターがいたな。ウェルフィンも非常に警戒心が強く、他者にたいして常に疑心暗鬼で、常に本当のことを正直に話すことができない性格だった。

そんなウェルフィンだが、イカルゴというキャラから「本当のことを言わないと酷い目に合わせるぞ!」と、脅しではなく実際にそうなるという実感をさせられる形で、徹底的に詰められて、とうとう洗いざらい一切の偏向もなく素直に事実を吐くことになった。

そのとき彼が「正直に話すってこんなに気持ちいいんだ…」と言っていたのを思い出した。まあうろ覚えなので、細かいセリフなどは厳密ではないが。

父親もそのように気付けるタイミングがあればよかったのにな。せめて家族にたしてぐらいは。いや、家族だからこそ自分の好きなように巧くコントロールしたくて、過度に嘘を重ねていた部分もあるのかもしれないが。

まあいずれにせよ彼はもう80も過ぎてるしウェルフィンのようにはならず、一生このままなんだろうな。