セラピーとしての散文

女にモテたい。というかセックスがしたい。できれば若い女がいい。できれば自分好みのルックスがいい。美人というよりも自分好み。例えば俺は二重よりも一重の女性の方が好きだ。やせよりもがっちりしている方がいい。地白より地黒の方がいい。

親孝行がしたい。親が死ぬのが怖い。生活ができなくなるという心配のもあるがそれよりも悲しみに耐えれるかが心配だ。とくに母親について。生きているうちに親孝行したい。

天涯孤独が怖いから嫁や子供も欲しい。できれば自分の家族がほしい。

もう俺は40歳になる。そして引きこもり。もうすぐ8年になる。社会的にみて底辺だ。年齢と合わせるともう絶望的な状況だろう。

女にモテたい、親孝行がしたい、家族がほしい、どれも非常に難しい。というか絶望的だろう。夢物語。

まあ、一番できそうなのは親孝行か。

身近な人間が死ぬときなぜ悲しいのか。理由は色々あるだろうが、やってもらったことよりやってあげたことの方が少ないと悲しみはより大きくなる気がする。1に対して100与えたのなら自分は十分にやってあげたとなるが、100に対して1しか返してないと後悔と自己嫌悪にまみれるだろうから。一生の悔いになるだろう。まあ1とか100とかそういうのはその人の主観によって変わってくるだろうが。

もらったものを返さないと気持ち悪くなるというのはある種の本能らしい。小難しい言葉を使うと返報性の原理とかいうらしい。しかしまあ個人差はあると思う。極端な話、100もらったら少なくとも100以上返さないと潰されそうなほどストレスを感じる人間もいれば100貰ってもラッキーってぐらいでなんなら一切返さなくても平気な人もいたりするだろう。俺は前者寄りの人間だと自負している。ちなみに前者の傾向が強い人間は、人から嫌われるのが怖い、人から好かれたい誉められたい、という感情が強いらしい。俺の場合、今の引きこもりという自己肯定感と自己嫌悪にまみれざる得ない現状がそのような感情を強くしているというのもあるかもしれない、しかしそれよりも、生来のものと幼少からの成長過程の中でそのような感情が強まってきたのだろう。つまり、三つ子の魂百まで、この気質はずっとそのままだろう。だから親に返さないと一生後悔するタイプだろう俺は。

今年の3月ごろ、たぶん自分の命は長くないだろうと本気で思っていた時期があった。体調不良、大腸がんの症状と一致している状態がずっと続いていた。不安症な俺はどんどん悪い方に考え、多分もう終わりだなと思っていた。そんな絶望的な気分な中、じゃあどうしようと考えたとき、残された少ない時間は数ヵ月、長くて1、2年、その間も体の不具合、衰弱は進行することを考慮すると、できるだけ親のケアをしなければと考えた。というか母親と旅行にでも行きたいなと思った。そういうの一度も行ったことなかったからな。

もちろん、今こうやってのうのうと駄文を書いているわけで、実際には俺は無事だった。12月も終盤に差し掛かるいま体は徐々に回復している。おそらくがんではなかったのだろう。まあまだ不安は残っているが。

しかしまあ、あの絶望感の中にあった使命は本物だったのだろう。だから親孝行しないといけない。悔しいけどな。母親にだってもっとまともに育ててくれればよかったのにとか、不満に思うことはよくあるからな。過干渉だったとか。しかしまあ俺の場合は与えられたものの方が多かったからそのような感情になるんだろな。

父親に関しても、まあ、死んでせいせいすると思えるぐらいにはこちらが与えた分を大きくしておきたい。俺の方がたくさん我慢した、たくさん配慮した、たくさん与えた、と思えるような状態にしておいたほうがいい気がする。

話を冒頭に戻すが、女にもてるのはもう無理なのだろうか、セックスするのはもう無理なのだろうか、引きこもり、介護が近い高齢の親、一人っ子、この状況から考えると極めて難しいよう見える。そりゃあ芸能人みたいにモテるのは無理だろうよ当たり前だ。でもセックスぐらいはできるんじゃねーかなと思っている。だから俺は引きこもりを脱出したいと思えているところがある。もちろん恐怖心や不安から思うことも大きい。親が介護が必要になったらどうやって食っていくのか、親が死んだらどうやって食っていくのか、自分自身が病気になったらどうすればいいのか、引きこもりの状態でそういった人生の危機を乗り越えるのは無理だ。絶望の中錯乱して自殺。それが怖いから引きこもりを脱出せねばというのもある。しかしセックスがしたというのも実はかなり大きいと思う。

最後に、家族がほしいという願望、これはもう無理なんだろうなと思っていたりもする。たとえ今すぐ引きこもりを脱出して、人間が変わったかのように努力したところで難しいだろう、しかしまあ願望を持ってはいけないということはないだろう。どんなに可能性が低いことだとしても。

こういうことを言うと、そのまえにまず求人に応募しろよ、と言われるだけなのは分ってる。1歩目すら踏み出せないくせに10000歩先のことを語ってんじゃねーよ、と言われるだろう。夢見心地かよ。俺もそう思う。しかしこの麻薬によっていまの俺を保つことができていたりする。それに麻薬といってもアルコールやベンゾジアゼピンよりはマシな麻薬だろう。