複雑痔瘻の手術直後

なんとか手術を終えて病室へストレッチャーで帰還。

思いのほか大きく切除したらしい。麻酔は6時間ほど経って切れるらしく、それ以降は痛みでブログどころではなさそうなので、今仰向けでほぼ身動きが取れぬ状態だが、今のうちに気合いで書いておく。

手術直前

手術前の用意が早すぎる。まだ手術まで3時間ほどあるのに血栓防止のストッキングやオシメ、手術着、点滴を装着するので待ち時間かなり不便だった。まあ効率性とか考えると仕方ないんだろけど。

ちなみに、手術前は当然不安で心細かったのだが、昨日寝不足だったのも手伝い、手術室に呼ばれる直前まで何度か寝落ちしていた。

手術中

手術室は思っていたより広く、まるで車の整備工場のような風体であった。

手術台にくの字で横になり、いよいよ腰椎麻酔を打つ準備に。緊張感が一気に高まった。緊張や不安に臨むとき俺は気を強く持とうと意識するのだが、今回はどうも難しそうだ。手術はなすがままなされるがままだからな。気を強く持ったところであんま関係ないんだよな。

手術開始。少し痛みがあるような気がして最初一瞬ヒヤッとしたが、ほどなくして痛覚は無になった(ただし術中下腹部の痛みや不快感はあった、これで一生チンコ立たなくなったらどうしようとか思った)。

腰椎麻酔の痛み、腰椎麻酔がちゃんと効いていること、この2つが自分のなかで結構大きな不安だったが、無事乗り越えられた。ちなみに、腰椎麻酔注射は結構痛くて刺されたときビクッとしてしまった。「動かないでくださいねー」と言われた。

手術時間は予想以上に長く、12年前に三型の複雑痔瘻の手術をしたときより体感的にはるかに長かった。こりゃ相当ひどいのかな、などと術中不安で仕方がなかった。途中なにやら肛門からかなり離れた臀部にも電気メスを入れているような感覚があり、おいおいおい…どんだけ切り刻んでるんだ…怖い…怖い…なにが起きてるんだ…ごめんなさい、許してください…と心で呟いていた。さらに補助の医師や看護師が深刻そうな雰囲気を醸し出しているような気がして不安で仕方がなかった。てかこれを書いている今も不安だか。

以下、手術完了後に主治医から言われたこと。

・左右(肛門の)を大きく切った(くりぬいた)

・右がとくに瘻管の広がりがひどかった

・左は落ち着いてはいたようだが瘻管やはり広がっていた

・それらは全て取り除いた

・腰側のかなり奥まで瘻管があり、再発を繰り返していたのはそれを取り残していたのが原因と思われる

・術後の絶食は水曜朝までの予定だったが金曜朝までに変更

感想

入院初日からの看護師などの対応もそうだったのだが、あられもない姿で手術台に乗せられ身動きもできない状態の無職中年男、そんな何の価値もない存在に、凄腕肛門科医による医学の粋と、麻酔医、看護師など医療スタッフによる尽力が注がれる。

それによって、感謝や申し訳なさなのか、あるいは不安感によるものなのか、良く言えば「全てに感謝、これまでに懺悔」といった非常に謙虚な気持ちを想起するのだが、悪く言えば非常に媚び諂った感情になっているとも言えるかもしれない。しかしまあ、媚とは「媚しい(うつくしい)」と書いて「しなやかですなお」という意味があるらしく、結局は前者も後者も同じなのかもしれないが。

ちなみに、この感情と似たベクトルとして、京アニ事件の犯人が全身火傷への献身的な医療サービスを受けていくなかで、人の心を取り戻しつつあった、というエピソードを思い出してしまった。

 

今これを書いている時間は17時25分。術後2時間半を経過。

麻酔により頭と下半身が動かせないなか、かなり書きづらかったが、麻酔が切れて痛みに悶えだす前に書いてしまいたかったので。